幸せになれないと思ったので仕事を辞めた

私は新卒でシステム開発会社にSEとして入社し、1年9ヶ月勤めて、退社した。今は博士課程の学生として研究生活を送っている。多くの人に、なぜやめたのか、もったいないなどと言われるのだが、自分の中では全く後悔していない。やめるに至った理由を忘れないように残しておきたい。
入社した会社はシステムインテグレータ(SI)と呼ばれる業種で、他社のシステム開発を元請けで請け負っていた。給料は申し分なかった。2年目でも十分なくらいもらっていた。
1年目は研修や小さな案件がメインの業務で、残業などは多くなかった。
2年目になると、ある程度の規模の案件に配属された。もちろん業務は簡単でなく、残業もあり、トラブル対応も大変であった。たとえ家に帰っていても、システムトラブルがあると呼び出され出社する。時間が何時であってもだ。深夜から早朝にかけて電話がかかってくることもあった。もらっている給料からすればしょうがないかと思っていたし、全くやりがいがないわけでもなかった。わからないことばかりであるが、少しずつ信頼されて任せてもらえる仕事が増えていくのも嬉しかった。しかし今後のことを考えると疑問を持った。
2年目になって残業が多くなり夜まで残ることも多くなったが、残業をするのは自分だけでなく30代以降の方々も同様であった。むしろ彼らの方がよっぽど遅くまで残っていた。トラブルがあったら彼らにも深夜であろうと連絡が行った。家族がいるいないに関わらずだ。例えば、自分が30代になって結婚して子供がいたと考えた場合、平日子供の顔を見る機会があるだろうか。おそらく寝顔ぐらいしか見れないだろう。深夜にトラブルで電話が来たら、妻も子供も起こしてしまうかもしれない。そんな日々を過ごしていて幸せだろうか。
年次が上がるにつれて、仕事の責任は増してくる。先輩方の話によれば30代で心の病になる人が多いらしかった(もちろん元気に働く人も多いし、逆に20代ですぐに病んでしまう人もいる)。身近なところにも体調を悪そうにして、気づいたらいなくなっていた人もいた。家族がいようといまいと、こうなってしまっては終わりではないか。
私事だが、2年目の初めに身内に不幸があった。あんなに元気だった人が、と思うと明日は我が身だと思った。私自身も1年目の終わりから小さな病気をしたし(すぐに完治したが)、友人の病もあったので、より一層明日は我が身だった。
そう考えた時、ずっとこの場所にいて幸せになれるのだろうかと思った。仕事はそんなものだ、あまい、という人もいるだろう。でもダメになってからでは遅いのだ。病んでからでは遅い。死んでしまっては最悪だ。よく病むくらい、死ぬくらいなら辞めればいいという人もいるが、それができないから世の中病んだ人が多いのではないか。完全にダメになるまで辞められないのだ。正常な判断ができなくなってしまうのだ。だったら辞めて好きな事をしようと思った。幸い、1年9ヶ月働いて少しはスキルとお金も得たし、世の中みんな生きてるから大丈夫だろうと思った。
辞めてからの収入はずっと少ないが、楽しい。

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